アリーナ&遅筆堂文庫のスタッフがお届けする舞台裏ブログ

後藤卓也さんは印刷会社の社長を務めるかたわら、「ガリ版文化」の研究とそれを伝える活動に

日々奔走しています。

冒頭では後藤さんが20年前に出演した鑑定番組の映像が流れ、収録時の苦労話や

その番組で呼びかけた作品を手に入れた時のエピソードを披露しました。

ガリ版はワープロやコピー機の普及ですたれてしまったものの、

平成20年までTVアニメの台本として使われていたことや、

浮世絵や油絵のように鮮やかな色彩や質感を出す技術があったこと、

俳優の故・佐藤慶さんのガリ版作家としての経歴などを

貴重な実物を示しながら紹介しました。

途中、レコード盤の演奏で小休憩をはさんだのち、

後藤さんがガリ版研究を通して知った「井上修吉」の話題に移りました。

2010年にNHKが制作した井上ひさしさんの追悼番組で、父・修吉さんが

ガリ版の名人だったことが紹介され、後藤さんはガリ版印刷の再現映像で出演しました。

後藤さんはすでに井上修吉の研究を進めていましたが、この番組に出演したことがきっかけで、

彼が優れた文芸作品を残していることを知り、その一つ『H丸伝奇』を復刊させました。

最後に井上修吉の研究をさらに重ね、いつか全集を出したいと今後の抱負を語りました。