アリーナ&遅筆堂文庫のスタッフがお届けする舞台裏ブログ

ノンフィクション作家で日本ペンクラブ会長の吉岡忍さんの講演会は、シベールアリーナ開場直後以来10年振り2回目の開催となりました。

吉岡さんは劣等感を抱いていた若い頃に世界の各国を旅し、自らの体験を通して知ることの重要性を感じたといいます。

取材先でのエピソードを披露しながら、現場で見たものやその土地の人々との会話などから吉岡さんが感じたこと、考えたことなどを語りました。

吉岡さんは「知る」ということは経験を通じて自分が動かされることであり、「知識」は知った気にはなれるが身につくことはないと「体験する」ことの重要性を強調しました。

また、情報があふれている現代はスマートフォンの普及によってかえって「無知」が広がっていると警告しました。

最後に、吉岡さんから知識を体験に変えるための本の読み方や建設的な批判をするための心がけといった具体的なアドバイスがあり、多くのお客様が熱心にメモを取りながら聞いていました。

質疑応答の時間では、吉岡さんは何をどう考えていくか、根本のところを見ていかないと本質を見失うと語った後で、社会とのつながり方が変容しているなかで「保護や支援を受ける」とはどういうことか、自分の主張を理解してもらうようにメッセージを伝えるにはどうすればいいかなど課題を提示しました。

簡単に答えを出すことができないようなこれらの問いに、会場のお客様も様々に思いをめぐらせていたようでした。